「とかげ」の書評

アントン・バーケル

  吉本ばななの書いた「とかげ」という小説には、語り手と「とかげ」という彼女との関係の変化が描いてあります。そして、登場人物がその変化をどうやって得たかを描くため、吉本は自分なりの文体や主題を使って表明しています。
まず、その文体と主題というのは一体何のことでしょうか。吉本の小説を読んで、最初に気付くのは、読者のみんなが分かる日常に使用されている日本語が使われていることです。それに、多くの小説には、「時間」と「癒し」、「宿命」と「運命」に関するテーマやら、死ぬことと臨死体験やら、人生には何もないと感じるような感覚がよく出ています。さらには、苦い経験がどのように人生を形成するかということをテーマにした小説も多くあります。そして、彼女の小説には、典型的な家庭も父親もめったにありません。このようなことが、吉本がよく使ったり、小説に入れたりする文体と主題です。
  「とかげ」という小説では、語り手が三年間付き合っているとかげという彼女がいます。ある夜、語り手は突然とかげにプロポーズしましたが、とかげはきちんと返事をしませんでした。「秘密がある」とだけ答えて寝てしまいました。もちろん、次の日に、語り手は秘密は何だろうと考えていました。その間、とかげを初めて好きになった初めてのデートを思い出しました。結局その夜、とかげは胸の中にかくしていた秘密を吐き出しました。それは、お母さんが変な男に刺されて、臨死になったが、とかげがそのときまで知らなかった能力で出血を止めて、傷口を癒しました。その後、とかげはその同じ能力で、その変な男をあだ討ちして殺してしまいました。すくなくともとかげはそう思っていました。その秘密のせいで、語り手はとかげに振られるかと思いましたが、とかげはそんなことをしませんでした。代わりに、二人は突然、夜中に成田参道に行きました。そこで、語り手は自分の秘密を言い出しました。生まれる前に、お母さんが叔父さんに、お父さんの目の前で、犯されました。そして、語り手はお母さんと叔父さんの間に生まれた子でした。数年後、そのトラウマでお母さんは自殺して、語り手の目の前で亡くなりました。語り手の秘密を言い出した直後、語り手ととかげはお互いの秘密を納得して、お互いに出会えたことは宿命だと気付いて、結婚することにしました。
  「とかげ」という小説には、吉本の典型的な文体と主題がほとんど全部入っています。話の中で、語り手はたくさんの昔の思い出を思い出すし、とかげは癒しの能力を持ってるし、お互いに出会えて結婚することが宿命だと思っているし、「時間」と「癒し」、「宿命」と「運命」のことが明らかに見られます。そして、二人の関係は「何もない」人生を表しています。なぜかというと、デートにも出かけないし、いつも暗い部屋で二人で静かに時間を過ごしたりするからです。おまけに、語り手ととかげの秘密は死ぬことと臨死体験と直接関係しています。こんなことが「とかげ」に入っていますから、「とかげ」は吉本の典型的な小説だと私は思います。この小説を読む前、普通の面白いナレーションだと私は思いましたが、読んでいく内にもっと深い意味があると気づきました。小説を読み終わるまで、その深い意味が分かりませんでした。結局、私はその意味には賛成ができませんが、すくなくとも作者の伝いたメッセージは分かりました。