『こころ』の書評

ヴィ・ドー

  夏目漱石の『こころ』を最初に読む時は時間が勿体ないと思ってしまうかもしれないが、実は有意義な見方が含まれている。『こころ』はほとんど死や人間の精神に関する主題について書かれている。この小説を読むと、色々なことについて考え直させられ、そして人間の良心、すなわち人間の心であり、その本質―気まぐれさや思わず邪悪なところなど―が明らかにされる。『こころ』を読んで、大事なレッスンを受けられるのは「人間は(悪い事も)し兼(か)ねない」ということである。
  夏目漱石の文体は『こころ』の最後の章では、「私」が先生からの手紙を読んでいるので、ファースト・パーソンで丁寧な言葉で書いてある。手紙の内容には大体先生が思っていることや気持ちなどについて書いてあるが、たまに書かれていることがはっきりと表現されていない。しかし、そうすれば夏目漱石は読者に考えさせることができる。
  『こころ』に出てくる先生という登場人物は、思いがけず叔父に裏切られ、苦しんだ。そして、自分は絶対そういう風にならないと決心したが、結局叔父みたいにKという友達を裏切ってしまい、裏切られた結果としてKは自殺してしまった。先生はKの死が自分のせいだと思って、そして自分が叔父と同じ人間だと意識して、自分も信じられなくなった。先生がKを裏切ったということは、二人が好きだったお嬢さんに、Kには何も言わずに先にプロポーズしたことである。先生はお嬢さんと結婚してから、何年経ていてもKの死を忘れられなく、自分を責めて、やましく思い続けた。何回も奥さんにKについての本当のことを打ち明けようとしたが、理解させる勇気がなかった。そして何度も自殺しようと思ったが、機会がなく、そして奥さんをこの世に残したくなかったので、死ねなかったから仕方なく生き続けた。後悔と友達を裏切ったことと自分の勇気のなさと「死んだ気で生きて」いこうと、先生は背負ってきた重い意識で生き続けてきた。しまいには「私」に手紙を書き、罪の重い意識という精神の牢(ろう)屋(や)から開放されるために、そして自由になれるように、奥さんの留守の間に先生も自殺してしまった。
  『こころ』には色々なテーマがあるが、主なものは「死」と「良心」と「人間の心の悪行をし兼ねなさ」である。前に述べたようにKが先生に裏切られてから自殺し、そして先生は「恐ろしい影」に尾行(びこう)され、押さえつけられ、すなわち良心が咎(とが)められ、罪を重く意識している先生も結局自殺してしまった。先生が叔父に裏切られて、叔父みたいにはならないと決心したが、お嬢さんに先にプロポーズして、Kを裏切ってしまった。先生は自分のやったことが信じられなかったので、人間は悪行をし兼ねないと気づいた。
  『こころ』の主人公は主として先生と奥さんである。「私」とKは存在しているが、この二人については細かいことが書かれていない。先生はとても否定的に深く考えすぎる人である。Kの死について反省し、奥さんの気持ちをちゃんと思ってくれたので、先生は邪悪な人と違って、思いやりと良心を持っている。なのに、Kを裏切ってしまい、自殺させてしまったと思っていたせいで、自分を責め続け、しまいに自殺してしまった。私は、最初は先生は意志力の強い人だと思ったが、結局人を理解させる勇気がなく、理解してくれる人がいないせいで自殺した先生は弱い人間だと思うようになった。奥さんは先生にとって純粋な存在であるが、もし最初から先生とKと戯(たわむ)れたりしなければ、そして二人のどちらが本当に好きなのかとはっきりしたら、二人が自殺してしまっうような結果にはならなかったと思う。
  人間は確かに気まぐれで、悪行をし兼ねない者であるので、外見で優しそうな人を簡単に信じられない。『こころ』を読んだら、批評眼(ひひょうがん)で人を見るようになるだろう。