「こころ」

寺田愛

 夏目漱石はよく国際的な作家と呼ばれています。中学校で教師を務めた後、文部省に命ぜられ1900(明治33)年からイギリス留学をしました。漱石はイギリス留学中、人種差別を受けるなどして、彼にとっていい留学ではなかったけど、この留学が彼の作家としての本能をかきたてたようです。
 イギリスから帰国後、漱石は大学の講師を務めれたが、漱石の思想は学生に受け入れられず、漱石の評価は不評でありました。
漱石は教職を辞して、朝日新聞社に入社しました。この時から漱石は作家業に専念するようになりました。そこで書かれた小説の一つが「こころ」でした。「こころ」を代表するテーマは「人間の心と死」です。
 「こころ」の主人公は彼の先生からもらった手紙を読んでいます。その手紙の中には先生が思っていることのすべてが正直に書いてありました。何年も前から先生は友人のKを殺したと思い込んでいます。なぜならKと彼は同じ女を愛していたのに、彼はそれを知りながら彼女の母に娘との婚約をお願いしたからです。それを知ったKは先生に尋ねられた時、ただ先生の幸せを願い、数日後自殺しました。Kが残した遺書には意志薄弱が理由で自殺したと書いてありましたが、先生はそう信じませんでした。先生は彼女をKから奪い取ったせいでKが自殺したと思っているのでしょう。
 Kが本当に自殺した理由は疑問ですが、私はKにとっては先生に裏切られた気持ちが一番辛かったのだと思います。世界で一番信じていた友人と愛する人を同時に失ったことでもうこの世に生きる意味はないと思ったのでしょう。その上、Kは辛くてちょっと頭が狂いそうだったのではないでしょう。そして先生に復讐をしたかったのだと思います。先生が一番苦しむ方法を考えた結果、自殺することにしたのだと私は思います。
 先生は結婚後も不安でKのことを忘れられませんでした。妻にさえ自分が考えていることも言えず、書物に集中し、酒ですべてを忘れようとしました。罪滅ぼしもしようとしました。妻を親切に扱ったけれど、それは女として見てはなく、大きな人道の立場から来た愛情で、それは妻にも分かっていました。結局Kのことを忘れられず、先生の後ろにはいつも暗い影がついてることに彼は気づきました。そしてその影は人間の罪を彼に深く感じさせたのです。先生はどの道を歩いてもKと同じ方向へ歩いていくと気づきました。つまり先生は自分は死ぬべきだと思い、死んだ気で生きて来て何年間も経ち、明治天皇が亡くなった後やっと殉死した乃木大将と同じく、殉死しようと決心したのです。
 先生はその恐ろしい影や後ろめたく思うのは自分がそういう世界を作り出してしまったのが原因だと私は思います。世間から離れた先生は孤独で自分を牢屋に閉じ込めてじっとできなくなってしまいました。ここで先生はKと同じ道をたどっていたことは間違いありません。
 私の考えでは先生はKの死のことで頭がいっぱいで先生の頭も少しおかしくなったのだと思います。社会は人々それぞれの心の中にあるので、先生が自分で「Kは私を許してくれる」と思わない限り解決しないでしょう。もしくは、先生は妻に相談した方がよかったと私は思います。けれども「こころ」は明治時代に描かれた話なので多分人の考え方は今と比べてまったく違うと思います。明治時代の人々がこの小説を読むときはもしかしたら先生の結論は正しいと思ったのかもしれません。