こころ

ディキンソン・カール


 一見すると、夏目漱石の長編小説の「こころ」はあんまり面白くはないと思ってしまうかも知れないが、実際に読んでみると、意味の深いことがたくさん出ていることに気付き、読んでいくうちに、色々なことを深く考えさせられる。多角的に読むことができる作品なので、「こころ」はかなり面白い小説だと思う。「先生」という登場人物の視点から流れてくる話であり、とても丁寧な風に書かれている。「こころ」自体が面白いとはいうのは確かだが、普段は使用しない様な漢字がたくさん出ているので、夏目漱石の文体は少し読みにくい時がある。読みにくいところがあるが、前に言った様にとても面白い話なので、楽しく読むことができる。
 「こころ」は明治時代末期に始まる。先生は叔父に金を取られて義絶される。そのあと、裏切られた結果として苦しみ、「奥さん」という登場人物と、奥さんの娘である「お嬢さん」と一緒に暮らすことにする。三人でしばらくして、先生の友達である「K」が友達先生は、絶対に叔父みたいに人を裏切ったりしないと決心するが、先生とKが同時にお嬢さんに惚れてしまい、先生はKに何も言わずにお嬢さんに結婚を申し込む。すると、Kが自殺する。先生はお嬢さんを奪ってKを裏切ったので、Kの死が自分のせいだと思い、 何年間もKのことをやましく思い続ける。自分さえ頼りにできなくなり、自殺しようと思うことが何回もあるが、お嬢さんのために命を引きずって辛い日々を送り続けていく。しかし、長い間が経ち、先生は罪悪感に苛まれたまま、生きていくことは耐えられなくなってきて自殺する。
 「こころ」には様々な主題があるが、最も有意的なのは「死」というものであろう。「こころ」では、人の命が軽く扱われている。何故Kは自殺したのかは確かでないが、恐らく先生に裏切られて失恋したからだろう。自殺するのはKだけでなく、先生も自殺する。失恋したからでなく、叔父みたいに人を裏切って罪悪感に苛まれたからだ。だが、失恋したからだとしても、罪悪感に苛まれたからだとしても、自殺してはいけないと思う。自殺するのは無責任だろう。Kは先生と仲直りしようともせずに、自殺する。先生はずっとお嬢さんにKについての本当の気持ちを打ち明けずにいる。そして、お嬢さんにKに対して一言せずに、自殺する。人生は一度しかないので、先生とKと同様に自分の命を簡単に終えてしまっては何というよりも勿体ないと思う。Kと先生はお互いにお嬢さんに対する気持ちを話したら、先生はKは自殺しなかっただろう。先生はお嬢さんにKについての本当の気持ちを打ち明けたら、自殺しなかっただろう。人は誰でも死ぬが、自発的に死ぬのは、考えられないくらいの行為である。「こころ」を読むと、「死とは何か」と考えさせられる。人が死ぬと、どうなるのかは誰も知らない。確かに生きていくのに辛いこともあるが、楽しいことも喜ばしいこともあるので、どんなに辛くても、死ぬより生きていく方がよいと私は思う。