エッセイ:日本が好き

カール・ディキンソン

 

電車の中で俺はゆっくりと本を読んでいた。千葉駅でおばあさんが夫と電車に入ってきて、夫と話し始めた。

「成田から来てんだね。背が高いね」
「そうだな、なに人だろうな」
「んー、アメリカ人じゃない?」
「そうだな、アメリカ人はみんな背が高いんだな」

あり得ねぇ。まぁ日本でこういうのが結構ある。なになに人だから、こうですねみたいな偏見がね…。
 
東京駅に到着。手を伸ばせないぐらい車内が込んでいた。席から立ったら、さっきのおばあさんが邪魔だったので、「すんまっせん、おらこっで降りますけん」と小声で言ってみた。

すると、あのおばあさんはやべっ!という感じの顔をして、こっそりと隅へ退いていった。

翌日、 文子の友達の結花と渋谷で待ち合わせするということで、文子と電車で渋谷に行った。

結花は初対面の人だったので、まずは紹介してもらうことに。

「初めまして、カールです」

結花は困ったような顔をして、文子に向いて「この子日本語分かる?」とはっきり聞いた。

「っけ…日本語分かりますよ。」
「そうなん?なんで?へ〜すごい」

へ〜って言えるもんか。

「毎夏日本にゃ来て喋るるごつなったったい。てか、初めまして、カールです」
「初めまして、結花です」
「よろしく」
「こっちこそ!ね、なんで毎年来ているの?」
「友達てろん親戚んおっけんただ遊びに」
「え?親戚?もしかして、ハーフなの?」

出た。

「そうですけんど…」
「へ〜、ハーフってかっこいいよね。背高くていいよね。目大きくていいよね。2ヶ国語喋れるからいいよね。てか毎年日本に来ているって、日本が好きだね!」

こういうの、ムカつく。普通に「日本語分からん」で済ませればよい。しかしこの子は文子の友達だからそういう訳には…。

「日本あんま好かんばってんが」と俺は呟いた。
「え?なんで?」
「そら、差別的なとこ、鎖国的なとこがまだまだあっけん。こっでいっつも外見で判断されよる。 日本語分かる?箸は大丈夫?てろん聞かれるこつ多かし。イライラすっと。そぎゃんのにもう飽いてきた。外人、ハーフとしてではなく、一人の人間として見ろって感じよ、ハーフだからって大したもんかよって感じよ、マジで。ハーフがまるでブランド品になっとるん耐えられん」
「いいじゃん!もっと前向きに考えな!普通の人にないもの持っているからいいじゃん。ハーフであることを誇りに思っていけばいいじゃん」と声高に結花が言った。
「なんか、もっと進歩的に考えれば?人種ば誇りに思うちゃダメだろうが」
「えーでも、簡単にモデルになれるからいいじゃん」
「あたほんに理解でけんったいね。簡単にハーフいいなぁてろん、おるん立場に立って話せんならあえて言ってくるな」

結局、三人でカラオケに行くことにした。松田聖子を歌って帰った。

今日は楽しかったな。今度森高千里歌おう。

翌日、文子の友達の智美に紹介してもらった。そして、「純粋アメリカ人ですか?」と聞かれた。

っは?