EA 198/398
Japanese Pedagogy
Akemi Morioka

聴解力試験のスクリプトと問題の作り方

A. 聴解力問題の出題形式(アクティビティとしてではなく、試験として使いやすいものの例)
   1. 聞き取ったことを英語や日本語で書かせる叙述形式
   2. マークシート形式
      A.質問に対し3つか4つの答えの選択肢をつける3者(4者)択一
      B.statementが正しいか間違っているか判断させる2者択一
      C.ある記述に対して、何/誰についての記述か判断させる
         例:A,B,Cさん3人が夏休みにしたことを話している会話を聞かせ、                   statementで、誰がしたことかを判断させる。

B. スクリプト(台本)の種類...生のものを使わない時
   1. 会話:2人か3人で行なう。4人になると多すぎる。
   2. モノローグ:ある人を設定し、その人が自分の経験や考えていることなどについて話す。
     (例)私はカリフォルニア大学で日本語を勉強しているアメリカ人です。
        去年の夏1か月日本に行きました……
   3. アナウンス:電話の映画情報などという設定。

C. スクリプト(台本)を作るときの留意点
   1. 会話にしてもモノローグにしても、試験に使うのならできるだけ不自然な場面設定は避ける。
    授業中に行なうアクティビティなら、内容があり面白ければ少し不自然な場面設定でも構わないと
    思われる。
       悪い例:ウエイターの募集広告のアナウンス。テレビやラジオでも日本ではこのような広告           はあまり聞かない。
       良い例:Aさんがアルバイトしているレストランをやめるので、友達のBさんに代わりに
           やらないかと 労働条件などを話しながら持ちかける。
   2. 聞いたこともないような場面設定にするのではなく、クラスで行なったアクティビティの応用の
    ような場面設定にする。
    (逆に言えば、試験を設定すると、クラスの内容もそれに合わせなければならない。)
   3. スクリプトはひとつの作品として題がつけられるようなまとまりと内容のあるものにする。
    又、始めと終わりがつじつまがあうように注意する。 
       悪い例:「私はUCIが大好きです。」という文でモノローグを始めて、UCIの近くの
           レストランに話が及び、「今晩は外食するつもりです。」で文章を終わる。
       良い例:「私はUCIが大好きです。」という文でモノローグを始めて、UCIのいい点を
           述べ、「私は学生生活を楽しんでいます。」で文章を終わる。
   4. 学生の習った範囲を考慮しながらも、できるだけ自然なことば遣いにする。特に会話を聞かせる
    ときには、「あのう」とか、「ええ、はあ、ふーん」などの相槌音が入ったほうが自然に近い
    会話である。
   5. 場面設定が日本人同志の会話、又は日本で行なわれている会話の場合は特に、アメリカでしか
    使われないような単語は使わない。
       悪い例:五時にピックアップに行くよ。
       良い例:五時にうちに迎えに行くよ。

D. 問題を作るときの留意点
   1. スクリプトで言われていることの直訳のようなstatementは避ける。
    モノロ−グの中で「昨日は一日中雨だったので大好きなテニスができなかった。つまらなかった」    という部 分から正誤問題を作る時:
      悪い例:Tanaka-san couldn't play tennis because it was rainning yesterday.
      良い例:Tanaka-san was disappointed with the weather yesterday. とか
          Tanaka-san wanted to play tennins yesterday.
   2. スクリプトを聞かなくても常識で答えられるようなstatementは避ける。
      According to Mr. Smith's monolog, are the following statements true or false?
      悪い例:It is hot and humid during the summer in Tokyo.
      良い例:It was hot and humid when Mr. Smith visited Tokyo.
   3. なるべくスクリプト全体からまんべんなく出題するように心掛ける。例えば前半から10問、
    後半から3問というようなことにしないように。
   4. スクリプトの中で言われていないことは、「情報がない」のであって、「false statement」とは    言えない。
   5. 読解と違って、聴解力を試す問題には「重箱の隅をつつく」ような細かいことを問う質問は避ける。
    According to the dialog:
      悪い例:Tanaka-san recommends the movie because it was (a.pretty good b. good
         c. very good).
     良い例:Tanaka-san recommends the movie because (a. it was pretty interesting
         b. it is now playing at a theater nearby c. his favorite actor performs in it).
   6. 試験にかけられる時間を考える。短時間で終えなければならない場合は、難易度のレベルは
    落とさないで問題数を減らす。但しマークシート形式の場合、例えば50点満点中の1問3点
    というのは、受験者のプレッシャーが大きいと思われる。
   7. マークシート形式の場合、選択肢が4つあるのが理想だという理論がある。

E. 出題言語
  UCIの場合、1年の1学期目はすべて英語。2学期目から2年の2学期目までは日本語と英語が半々。
 2年の3学期目から3年生は全部日本語である。日本語で出題すると読解力が要求されるので純粋な聴解力試験とは言えなくなるが、聞いたことを頭の中で英語に訳することなく、そのまま日本語で理解できるように2年の3学期目からは日本語で出題している。
 純粋な聴解力試験にするため、2年生の3学期の中間、期末試験は書いたものを与えずに問題も全部聞かせるだけにしたことがある。しかしこれは、学生が目に頼らず記憶しなければならないので大変だと判断し止めた。