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ショートショート「肩の上の秘書」(星新一 1926-1997)

Summary of Today's Class Discussion (October 2, 2007)

Discussion Topic: この作品の中にはどんなユーモア、皮肉(ひにく)、矛盾(むじゅん)が表現されているか?

社会批判(高度経済成長期の日本, 資本主義社会)
・人間は機械に頼(たよ)りすぎている。
・人間は歩く事もやめてしまい、ロボットのようになっている。
・最初は「便利だ」と思って使っていた機械が、「必要」なものになってしまっている。
 (Convenience to necessity)

・すべてはお金をもらうため。言葉もお金もうけの手段(しゅだん)。
 お客さんにも真心(まごころ)を持って接(せっ)していない。
・この社会の人々の価値観は、「便利、簡単、早い」が優先(ゆうせん)する。
・技術(ぎじゅつ)の進化(しんか)のせいで人間性がなくなっている。
・人間が言語や文化から遠くなっている。(Man’s alienation from language and culture)
・社会がとても表面的(ひょうめんてき)/表層的(ひょうそうてき)。(Literalization of superficiality/artificiality - robotic)
・この話は、消費(しょうひ)社会を批判(ひはん)している。(Satire of consumer society)
・この話は、セールスマンの大変さ、会社社会で働く人の大変さを表している。

人間関係の批判
・人と人との間に距離がある。― お互いに話す時には、インコを通して話す。直接話せない。
・人が本音を言うと、インコがそれを敬語にする。人の本音は聞きたくない。
・敬語を使って、うまく表現することによって、相手を傷つけない。相手を傷つけたくないし、自分も傷つきたくない。
・この話は、本音と建前のある人間関係を描写(びょうしゃ)している。
・この話は、会社内と家庭内における階層(かいそう)を描写している。
 (Hierarchy in the company and household)

言語と社会
・人間が敬語を使えないのでは?
・この話は、敬語を使っている日本社会の二面性(にめんせい)と表層性、表面的であることを描写している。
 (Emptiness of communication through keigo, Fundamental artificiality of honor society, Satire of tradition of Japanese patronage embedded in language)
・インコが自分の代わりにしゃべってくれることによって、自分の人格をうまくかくして、他人に見せない。その結果、自分自身を失ってしまっている。

言語の機能とは何か?
・人間社会は、適切(てきせつ)な話し方によって、色々なことがスムーズに運んでいる。中身のない言葉だとわかっていても、人間はそれを聞きたがる。お世辞(せじ)だとわかっていても聞くと気分がよくなる。人間は愚か(おろか)で悲しい生き物。

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Excerpts from Today's Class Discussion (September 28, 2006)

Discussion Topic: この作品の中にはどんなユーモア、皮肉、矛盾(むじゅん)が表現されているか?

・高度経済成長期の日本社会の象徴(しょうちょう)

・人はエンジン付きローラースケートを履いて、歩くことをやめた。
・人はロボットインコを肩に置いて、しゃべることをやめた。直接話をしない。
・セールスマンは売ることだけが目的で、客の気持ちを考えない。
・人間性が喪失(そうしつ) ‘loss’ されている。

・人々の丁寧さ/本音と建前

・人は、たいてい自分の本当の気持ちを隠してしゃべっている。
・時々、丁寧すぎるほどのしゃべりかたをする。
・ロボットインコは相手が「聞きたいこと」をしゃべってくれる。

・社会での人々の役割(やくわり)

・未来の世界でも主婦と主人、部長と部下という関係は変わらないらしい。
・「主人に相談しないと決められない」という主婦の主体性のなさ。

・生身(なまみ)の体

・「上品な家庭」に電気ぐも (electric spider/ back scratcher) を売りに行った。上品な家庭の人でも背中がかゆくなるが、それを人前でかくことは下品だと思っている。

・ことばの機能(きのう) ‘function’

・人は言葉を通じてコミュニケートし、人間関係を作り上げるが、この話では、話しているのは人ではなく、ロボットインコである。このような状況(じょうきょう)では、人はどうやって他人との関係を築く(きずく)ことができるのだろうか。
・ゼーム氏は仕事が終わったらロボットインコをインコをロッカーに入れて、バーに飲みに行く。バーだけが自分の言葉でしゃべれる唯一(ゆいいつ)の場所のようである。彼に家庭/家族があるかどうかはこの話ではわからないが、家庭/家族があったら、家でもロボットインコを使うのだろうか?
・ゼーム氏はバーのマダムに「すてきなかた」などと言われて、それがお世辞だとわかっていながらも「このひとときが、一番楽しい。」と言う。
・言語によって起こる人との摩擦(まさつ)'conflict'をさけるためにロボットインコを使っているが、その言語によって、人は癒され(いやされ)たり、いい気分になったりする。